相談者:設備製造会社 総務担当
設備製造会社の総務を担当しています。取引先から建設業許可を取得するよう言われています。販売した機械設備を設置するだけなのに、建設業許可が必要なのでしょうか?また、建設業許可を取得するには、実務経験の証明が必要と聞きました。実務経験の証明の仕方がわからないので、スマートサイドさん手続きをお願いすることはできますでしょうか?
回答者:行政書士
設備の製造・販売後、取引先に赴いて設備の設置を行う際に、「設置工事」が必要になる場合がありますね。その際には、建設業許可が必要になります。また、建設業許可を取得するには、「実務経験の証明」が必要になる場合もあります。弊所は、建設業許可取得の手続きを大変得意としていますので、安心して、お任せください!
製造業や販売業をメインとする会社でも、建設業許可を必要とする場合があります。一見すると、建設会社に該当しないため、建設業許可は必要ないようにも思えますが、製造した機械や販売した設備を、「搬入・設置」する際に、設置工事を行うこともあるかと思います。そのような場合、販売設備の額と設置工事の額の合計が500万円以上になれば、建設業許可が必要です。
それでは、建設業許可を取得するにあたって、実務経験(工事の実績)の証明が必要な場合、実務経験は、どのように証明して行けばよいのでしょうか?証明の方法は、各都道府県によって異なるため、このページでは、東京都の建設業許可を取得することを想定して、実務経験の証明の方法について、解説していきたいと思います。
建設業許可取得に必要な実務経験とは?
まず、建設業許可を取得する際には、「経営業務管理責任者」「専任技術者」という人的要件を満たしていることが必要です。簡単にいうと、「経営業務管理責任者」と「専任技術者」が会社に常勤していないと、建設業許可を取得することができないのです。「経営業務管理責任者」と「専任技術者」と言えるための条件は、以下の通りです。
経営業務管理責任者の要件
(ア)申請会社の常勤の取締役であること
(イ)取締役(もしくは個人事業主)としての経験が5年以上あること
(ウ)上記の5年間、建設業をおこなっていたこと
のすべてを満たすことが必要です。
専任技術者の要件
(1)建築士や施工管理技士といった資格を持っていること
(2)土木科や建築科といった特殊な学科を卒業していること+3~5年の実務経験
(3)10年の実務経験
のいずれかを満たしていること(なお、土木科や建築科といった特殊な学科のことを「指定学科」と言います)。
実務経験とは、専任技術者の(2)もしくは(3)の条件を証明するために必要な工事実績のことを言います。「(1)建築士や施工管理技士といった資格」を持っている場合、その資格さえあれば、実務経験を証明しなくても、専任技術者になることができます。一方で、建築士や施工管理技士といった資格者がいないからと言って、建設業許可を取得することができないわけではありません。
建築士や施工管理技士がいない会社であったとしても「(2)土木科や建築科といった特殊な学科を卒業している人がいれば、その人の3~5年の実務経験を証明すること」によって、専任技術者の要件を満たすことができます。資格者がおらず、土木科や建築科を卒業している人がいなかったとしても、10年以上の実務経験を積んでいる人がいれば、その人の「(3)10年間の実務経験を証明すること」によって、専任技術者の要件を満たすことができ、建設業許可を取得することができるのです。
専任技術者になるために必要な実務経験の年数 | |
---|---|
大学の指定学科を卒業している場合 | 3年 |
高校(専門学校)の指定学科を卒業している場合 | 5年 |
指定学科を卒業していない場合 | 10年 |
この実務経験は、取得したい建設業許可の工事を施工した経験でなければなりません。
- 大学の建築科(指定学科)を卒業している人を専任技術者として、内装工事の建設業許可を取得しようとする場合、3年以上の内装工事の実績を証明する必要があります。
- 高校の機械科(指定学科)を卒業している人を専任技術者として、管工事の建設業許可を取得しようとする場合、5年以上の管工事の実績を証明する必要があります。
- 普通科(指定学科以外)を卒業している人を専任技術者として、とび工事の建設業許可を取得しようとする場合、10年以上のとび工事の実績を証明する必要があります。
どの業種の建設業許可を取得したいのか?指定学科の卒業経歴があるのかいなか?によって、必要となる実務経験の種類と年数が変わってくるのです。
専任技術者になるために必要な「実務経験の証明方法」
ここまでの説明で、実務経験は専任技術者として認めてもらうために必要な工事の実績(工事経験)であることがお分かりいただけたかと思います。それでは、実務経験(工事の実績)は、どのように証明して行けばよいのでしょうか?
準備が必要な書類
■ 工事請負契約書
■ 注文書
■ 請求書+入金通帳
■ 実務経験期間中の在籍を証明できる書類(厚生年金保険の被保険者記録照会回答票)
(内容の証明)
まず、実務経験の「内容」を証明するために必要な書類としては、「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金通帳」が挙げられます。とび工事の実務経験を証明したいのであれば、とび工事であることがわかる「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金通帳」が必要です。内装工事の実務経験を証明したいのであれば、内装工事であることがわかる「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金通帳」が必要です。
「工事請負契約書」がなければ「注文書」、「注文書」がなければ「請求書+入金通帳」があれば、大丈夫です。3つのうち、どれか1つがあれば、契約実績を証明するための資料に使うことができます。
「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金通帳」の書面上の記載から、許可を取得したい工事の内容が読み取れない場合は、実績を証明するための書類として、認められない場合があります。例えば、「請求額:工事費○○円」といったような記載の場合。「工事」に関する請求書であることはわかりますが、何の工事に関する請求書なのか?(29業種のうち、どの工事の実績なのか?)がわかりません。このような場合には、実績を証明する資料としてカウントされない場合があります。また、「保守」「点検」「メンテナンス」という工事に該当しない「契約書」や「注文書」も、工事の実績として認めてもらうことができません。
(在籍の証明)
実務経験期間中、実務経験を積んだ会社に「在籍」していたことの証明も必要になります。例えば、Xさんが、A社に4年勤務し、B社に6年勤務しているような場合。B社でXさんの10年の実務経験を証明して、Xさんを専任技術者として建設業許可を取得するには、B社に入社してから6年間の「工事請負契約書」などが必要になるだけでなく前職であるA社時代の4年間の「工事請負契約書」なども必要になるのです。
この場合にXさんは、「前職であるA社に4年間、現職であるB社に6年間、在籍していたことの証明」が必要です。この実務経験期間中、実際に実務経験を積んでいた会社に在籍していたことを証明する書類として「厚生年金保険の被保険者記録照会回答票」が必要になってきます。
必要な期間
■ 大学の指定学科の卒業の場合、3年分
■ 高校(専門学校)の指定学科卒業の場合、5年分
■ 普通科(指定学科以外)の卒業の場合、10年分
「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金通帳」が必要なのは、上記の通りです。なお、専任技術者は取締役などの役職者である必要はありません。会社に常勤していれば、社員でも専任技術者になることができます。社長や役員だけでなく、社員の中に、指定学科を卒業している人がいないかを確認してみることをお勧めいたします。
必要な件数(東京都の場合)
■ 原則1か月につき1件
■ 実務経験期間確認表を添付する場合、3か月につき1件
東京都の建設業許可を取得する場合には、1か月に1件にの割合で、「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金通帳」のいずれかで工事の実績を証明する必要があります。ただし、東京都が指定している「実務経験期間確認表」を添付することによって、3か月1件の割合で提出することが可能になります。
上記の画像は、実際に、東京都の建設業許可の取得に成功した際、管工事の5年間の実務経験を証明するために使用した「実務経験期間確認表」です。本来であれば、月1件(全5年分=60件)の請求書と入金通帳が必要だったのが、この「実務経験期間確認表」を提出することによって、3か月に1件(全5年分=20件)の請求書と入金通帳で実績を証明することができました。
建設業許可の「実務経験の証明の仕方」でお困りの人へ
行政書士
実務経験を証明するために必要な書類、期間、件数について、ご理解いただけましたか?行政書士法人スマートサイドは、実務経験を証明して建設業許可を取得することを大変得意としています。なかには、「他の事務所に頼んだらダメだったけど、スマートサイドに依頼したら許可が取れた」というケースもあるくらいです。
実務経験の証明は、建設業許可を取得するにあたって、1番苦労する証明です。あまり大きな声では言えませんが、実務経験の証明の仕方が悪いと墓穴を掘ってしまうことがあります。例えば
- 実績を証明したいからといって、1000万円の工事契約書を資料として提示したらどうでしょう?
建設業許可を持っていないのに、500万円以上の工事を施工していたことがバレてしまいます。自ら、「私の会社は建設業法違反を犯してました」と告白するようなものです。また、
- 1つの工事につき、400万円の入金が複数回あったらどうでしょう?
形式的には、500万円以上の工事に該当しないように思われますが、審査担当者がそれを見た際には、合算して1件あたり500万円以上の工事を受注していたことがバレてしまいますね。
ほかにも、
- 工事の実績が半年に1件しかない
- 入金通帳を破棄してしまっているため、実績を証明できない
といったようなこともあるかもしれません。
いままでまじめにコツコツと実績を積んできたのに、その実績を証明できないがゆえに建設業許可を取得することができないというのは、非常にもったいないです。特に、相談者さまのように、設備の「製造」や「販売」をメインとしている場合、どうしても、建設業許可や建設業法について、理解がおろそかになりがちです。
そんな時こそ、行政書士法人スマートサイドにご相談ください。弊所では、相談者1人1人への適切な対応・質の高い面談時間の確保という見地から、事前予約制の有料相談を実施しています。有料相談では
✅ 実際に、どういった書類を準備すればよいのか?
✅ 何年遡って、書類を用意すればよいのか?
✅ 請求書や入金記録をどのようにそろえればよいのか?
と言う点について、御社の状況にそくして、きめ細かくご提案させて頂くことが可能です。
建設業許可取得の際に必要な「実務経験の証明の仕方がわからない」という場合には、ぜひ、下記、問い合わせフォームから行政書士法人スマートサイドにご連絡をください。