あと何年経てば、建設業許可を取ることができますか?

相談者:イベントプロデュース会社 伊藤社長(仮)

取引先から建設業許可を取得するように言われています。私自身が会社を設立して5年以上経つのですが、他の行政書士から建設業許可を取得するには10年以上の実績が必要だと聞きました。行政書士法人スマートサイドさんに依頼すれば、許可取得までの期間を短縮できますか?あと何年経てば、建設業許可を取ることができるのか?知りたいです。

回答者:行政書士

会社を設立して5年以上経っているということは、経営業務管理責任者の要件は何とかなりそうですね。問題は、専任技術者の要件を充足するか?充足するとして、どうやって証明していくか?ということになります。もしかしたら、許可を取得できる可能性があるかもしれません。一度、詳しくお話をお伺いさせて頂きます。

✅ 今すぐにでも建設業許可を取りたい

✅ 500万円以上の工事を受注するにあたって、法律を順守したい

✅ グレーゾーンをなくし、胸を張って、工事を請負いたい

ということで、「建設業許可の取得」を検討している会社は、多いと思います。いわゆる「建設会社」ではなくても、製品の製造・販売とともに設置工事を行うような製造業イベントの企画・運営を手掛けるようなイベント会社内装空間プロデュースを行うような建築士事務所から、建設業許可の取得に関するご相談も増えています。

その際に、一番問題になるのが「許可取得までの年数」です。行政書士事務所のホームページの中には

  • 許可取得率100%
  • 最短〇日で許可申請

といったように、誰でも数日で、簡単に建設業許可を取得できるような表記の仕方をしていることが少なくありません。たしかに、許可要件を満たしていさえすれば、許可取得率は100%でしょうし、許可要件を満たしていれば数日で許可を取得することができるでしょう。 しかし、建設業許可取得で困っている人のほとんどが、許可要件を満たしていないから困っているわけです。「許可取得率100%」「最短〇日で許可申請」と言ったところで、何の問題解決にもなっていないのです。

そこで、このページでは、冒頭の「イベントプロデュース会社の社長」のご相談にお答えする形で、実際のところ、何年経てば建設業許可を取得することができるのか?について、解説していきたいと思います。

■ 実務経験が必要と聞いたけど、あと何年待てばよいのかわからない…

■ 他の行政書士に相談したら、あと10年必要と言われた…

■ 資格が必要と言われたけど、本当に、資格を取るしか方法がないの?

という人は、ぜひ、最後までお読みいただければ幸いです。

建設業許可取得に必要な年数

建設業許可を取得する際に必要な要件として「経営業務管理責任者の要件」と「専任技術者の要件」という2つの要件があります。この2つは、許可要件ですので、どちらか一方を欠いても建設業許可を取得することができません。両方の要件を満たして、初めて建設業許可を取得することができます。

要件 意味
経営業務管理責任者 建設業許可業者における建設業部門の最高責任者
専任技術者 建設業許可業者における技術的な管理責任を担う人

「経営業務管理責任者」という言葉も、「専任技術者」という言葉も、見慣れない言葉と思いますが、上記のように、「経営業務管理責任者=建設業許可業者における建設業部門の最高責任者」、「専任技術者=建設業許可業者における技術的な管理責任を担う人」というように理解しておいて頂ければ大丈夫です。なお、1人の人が「経営業務管理責任者」と「専任技術者」を兼任することができます。それでは、経営業務管理責任者や専任技術者の要件を満たすには、どういった経験や年数が必要になるのでしょうか?

(経営業務管理責任者の要件)

(ア)申請会社の常勤の取締役

(イ)取締役(もしくは個人事業主)としての経験が5年以上あること

(ウ)上記の5年間、建設業をおこなっていたこと

のいずれも満たしていることが必要

(専任技術者の要件)

(1)建築士や施工管理技士の資格があること

(2)建築科や土木科などの卒業経歴+3~5年の実務経験があること

(3)10年の実務経験があること

のいずれかを満たしていることが必要

経営業務管理責任者になるために必要な年数

経営業務管理責任者の要件を満たすために必要な年数は、5年です。ただし、その5年は、取締役(執行役員を含む)や個人事業主として建設業をおこなっていた期間であることが必要です。例えば、「WEB制作会社の取締役を5年間やっていました…」という場合、「(イ)取締役(もしくは個人事業主)としての経験が5年以上あること」の条件を満たしますが、「(ウ)上記の5年間、建設業をおこなっていたこと」の条件を満たさないように思います。

もちろん、そのWEB制作会社が、「PC機器周辺の電気工事や電気通信工事も受注していた」「WEBイベントに関するデザイン工事も引き受けていた」という実績があれば、(ウ)の条件を満たすことになり、経営業務管理責任者に該当するということができるでしょう。

(伊藤社長の場合)

会社を設立して5年以上経過していることから、その5年間の工事の実績を証明することによって、経営業務管理責任者の要件を満たしているということができそうです。証明の仕方にもよりますが、ひとまず、経営業務管理責任者の要件は、クリアできると言ってよいでしょう。

専任技術者になるために必要な年数

専任技術者になるための必要な年数は、10年です。建設業許可を取得する際の要件である「専任技術者」になるためには、原則として10年の工事経験が必要になります。ただし、「土木科」「建築科」「電気科」「機械科」などの特殊な学科を卒業している場合、10年の工事経験の期間が、3年~5年に短縮されます。なお、「土木科」「建築科」などの特殊な学科のことを指定学科と言います。

卒業経歴 意味
大学の指定学科 指定学科卒業後3年の実務経験
高校(専門学校を含む)の指定学科 指定学科卒業後5年の実務経験
  • 大学の指定学科を卒業している人は、専任技術者になるために10年の工事経験が必要なのではなく、3年の経験で足ります。
  • 高校や専門学校の指定学科を卒業している人は、専任技術者になるための10年の工事経験が必要なのではなく、5年の経験で足ります。

このように、「指定学科(特殊な学科)」を卒業している場合、必要な期間が10年から3年(または5年)に短縮されることがあるというのが、専任技術者の要件を証明する際に、非常に重要なポイントになってきます。また、専任技術者は、取締役などの役員である必要はありません。経営業務管理責任者は取締役(執行役員を含む)である必要がありますが、専任技術者は、会社に常勤している「社員」がなることができます。そのため、会社に常勤している社員の中に「指定学科(特殊な学科)」を卒業している人がいれば、その人の3~5年の工事の実績を証明することによって、専任技術者の要件を充足することができるのです。

(伊藤社長の場合)

まずは、伊藤社長自身や会社の社員の中に、「指定学科」を卒業している人がいるかいないかを確認する必要があります。指定学科を卒業している人がいない場合、現時点での許可取得は難しいかもしれません。一方で「指定学科」を卒業している人がいる場合には、その人を専任技術者に起用することによって、いますぐ、許可を取得することができる可能性もあります。

あと何年?今すぐ? 建設業許可取得でお困りの人へ

行政書士

会社を設立してから5年以上経過している場合、経営業務管理責任者の要件を満たしていることが多いので、建設業許可取得の可能性が高くなります。あとは、専任技術者の要件を満たしている人がいないか?社員の保有資格や学歴について、詳細に確認してみてください。実は、「あの社員のあの学歴が、指定学科に該当していた!」なんてことがあるかもしれません。

  • 経営業務管理責任者になるには5年
  • 専任技術者になるには10年

といったように、建設業許可を取得するための要件を満たすには、相当程度の期間が必要なのは確かです。これが「建設業許可の取得は難しい」と言われる所以です。しかし一方で、建築士や施工管理技士などの資格がなくても、比較的簡単に建設業許可を取得できてしまう会社があるのも事実です。

道路舗装や解体など、建設業を専門に行う会社には、さまざまな資格を保有している社員が多いのは事実です。しかし、「設備製造会社」や「イベントの企画運営会社」には、そもそも、建築士や施工管理技士の資格を持っている人などいないのではないでしょう。だからといって、建設業許可の取得をあきらめるのは、まだ、早いです。

社員の中に、「デザイン科」「住居科」「都市科」などの卒業生はいませんか?大学でなくても「高校」や「専門学校」でも構いません。そのような特殊な学科を卒業している社員がいれば、10年という長い経験がなくても、専任技術者になることができる可能性があります。以下のように、行政書士法人スマートサイドでは、特殊な学科の卒業経歴を証明して、東京都の建設業許可を取得した実績が多数あります。

いずれも、10年の経験期間を3年や5年に短縮して、建設業許可を取得することができた成功事例です。

  • 自分の会社が建設業許可を取れるのかがわからない
  • あと何年経てば、建設業許可を取れるのか?
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