建設業許可は何年で取れるのか?要件ごとの必要年数を専門行政書士がわかりやすく解説

「建設業許可が欲しい」という人は、多いです。建設業許可を持っていないにも関わらず500万円以上の工事を施工することは建設業法違反になってしまいます。なかには「請求書(金額)を何回かに分割して発行しているから大丈夫」とか「500万円に達しないように複数回に分けて工事を施工しているから大丈夫」とお考えの人もいるようですが、これらも厳密には建設業法違反になってします。少しずつ元請会社や取引先からの信用が減っていくのを、肌身をもって感じているのではないでしょうか?

元請や取引先から、「建設業許可を持ってください」と言われてはいるものの

✅ いますぐ取れるのか?

✅ 許可要件を満たしているのか?

✅ 経験年数は満たすのか?

✅ 5年もしくは10年、待つ必要があるのか?

といったように情報が錯綜し、きちんとした判断ができていない会社が多いように思います。インターネットで検索しても、なかなか正しい情報にたどり着けないかもしれません。そこで、このページでは、東京都の建設業許可取得の専門家である行政書士法人スマートサイドが、建設業許可の要件ごとに、どういった経験が何年必要なのかについて、わかりやすく解説させて頂きます。

建設業許可に必要な2つの人的要件(経験年数)

まず、理解して欲しいのは、「建設業許可を取得するには、2つの人的要件を充足する必要がある」ということです。みなさんも、どこかで見たこと・聞いたことがあるかもしれません。その2つの要件が「経営業務管理責任者」と「専任技術者」です。


建設業は、他の産業と比べて独特の特徴を持っています。まず、仕事の進め方として、多重下請構造が一般的で、元請企業から下請・孫請へと仕事が流れる仕組みになっています。そのため、各専門業者がそれぞれの役割を担いながら工事を進める必要があり、全体の調整が非常に重要です。

また、建設工事は完成までに長い時間を要し、場合によっては数年に及ぶこともあります。さらに、工事の規模が大きく、関わる人数や資材の量も膨大で、取り扱う金額も高額になる傾向があります。そして、一度完成した建物は簡単にやり直しができないため、施工の品質管理が極めて重要です。こうした点から、建設業は他の産業とは異なる特性を持つ分野といえます。


このような建設業が他の産業とは異なる特徴を持っているため、建設業許可を取得するには「経営業務管理責任者」「専任技術者」という特殊な要件が必要になるのです。逆に言うと、「経営業務管理責任者」「専任技術者」という特殊な人的要件を満たした会社にのみ、建設業許可を与え、500万円以上の工事を施工させることによって、「発注者」や「公共の安全」を保護しているのです。

経営業務管理責任者とは?

経営業務管理責任者とは、建設業許可業者における建設業部門の最高責任者のことを言います。代表取締役が経営業務管理責任者になるのが一般的ですが、代表取締役ではなく、平取締役でも経営業務管理責任者になることができます。会社の規模によっては、執行役員も経営業務管理責任者になることもできます。

専任技術者とは?

専任技術者とは、建設業許可を取得するために必要な技術者で、営業所ごとに専任で配置することが求められます。この技術者は、建設工事の適正な施工を確保するために必要な専門知識と経験を持っていることが条件とされます。取締役や役員である必要はありません。会社に勤務している社員が専任技術者になることができます。

経営業務管理責任者になるには何年必要か?

経営業務管理責任者になるには

(ア)申請会社の常勤の取締役

(イ)取締役(もしくは個人事業主)としての経験が5年以上

(ウ)上記(イ)の5年間、建設業をおこなっていたこと

の3つのすべてを満たす必要があります。

そのため、経営業務管理責任者になるには、すくなくとも建設業の経営経験が5年以上必要ということになります。この5年以上の経営経験に関するよくある質問は以下の通りです。

過去の個人事業主としての経験は、経営経験の年数にカウントされますか?


個人事業主としての経験は、経営業務管理責任者になるために必要な経営経験の年数にカウントすることができます。たとえば、個人事業主が法人成りしたような場合です。3年間、個人事業主として内装リフォーム業を行い、その後、内装リフォーム会社を設立して代表取締役に就任し2年以上経過しているような場合。この場合、個人事業主としての経験3年+法人取締役としての経験2年の合計5年が経過しているので、経営業務管理責任者になるための5年の経営経験を満たしていることになります(許可取得の成功事例はこちらをクリック)。

執行役員としての経験では、ダメですか?


執行役員は登記事項ではないため、登記簿謄本に記載されません。そのため、以前までは執行役員の経験をカウントすることができませんでした。しかし、現在では、執行役員の経験も経営業務管理責任者になるための5年の経営経験にカウントすることができます。実際には、取締役会設置会社であることが必要であったり、組織図や業務分掌規程など、細かい書類の提出も求められますが、執行役員の経験があれば、経営業務管理責任者になることができる可能性がぐっと高くなります(許可取得の成功事例はこちらをクリック)。

部長としての経験しかありません。経営経験になりますか?


部長としての経験が、経営業務管理責任者になるための経営経験にカウントされるかというと、かなり厳しいように感じます。経営業務管理責任者になるために必要な経験は「建設業の経営経験」です。部長というポジションで「建設業を経営しているか」というと、なかなか難しいのではないでしょうか?部長としての経験しかない場合、経営業務管理責任者になるのは、厳しいというのが私の考えです。

出向取締役です。出向でも、経営経験に該当しますでしょうか?


出向取締役としての経験は、経営業務管理責任者になるための経験にカウントされます。例えば、「取締役として、A社に出向してきて6年が経ちます」というXさん場合。出向契約書、出向協定書などの出向に関する書類の提出が別途必要になりますが、A社はXさんを経営業務管理責任者として、建設業許可を取得することが可能です。。

他社での取締役の経験なら、5年以上あるのですが、どうですか?


経営業務管理責任者になるために必要な「経営経験」は、建設業許可を申請する会社での経験に限定されません。例えば、A社が建設業許可を取得する際に「B社で5年以上の建設業の取締役としての経験があるXさん」を、A社の取締役に就任させて、XさんをA社の経営業務管理責任者として建設業許可を取得することができます。Xさんは、A社の取締役としての経験が5年以上必要なわけではありません。B社でもそれ以外の会社でも建設業の取締役としての経験があれば良いのです(許可取得の成功事例はこちらをクリック)。

上記のように、経営業務管理責任者の要件を満たすには、原則として「5年以上の建設業の経営経験」が必要になります。取締役としての経験はもちろんのこと、執行役員の経験であれば、5年の経営経験にカウントされますが、部長や課長クラスの経験では、経営経験ということは難しいのが現状です。

専任技術者になるには何年必要か?

専任技術者になるには

(1)施工管理技士などの国家資格があること

(2)特殊な学科の卒業経歴+3~5年の実務経験があること

(3)10年の実務経験があること

のいずれかが必要です。

経営業務管理責任者の要件と異なり必要なのは「建設業の経営経験」ではなく「工事の実務経験」です。そのため、取締役などの役員である必要はなく、常勤の社員が(1)~(3)に該当する場合、その社員を専任技術者として建設業許可を取得することができます。

資格があれば実務経験は不要になるのですか?


「国家資格があれば、必ず実務経験の年数が不要か?」というとそういうわけではありません。国家資格の中でも、第2種電気工事士のように、免許交付後3年以上の実務経験を経ないと、専任技術者になることができない資格もあります。自分の会社がどの業種の建設業許可が必要で、その業種の建設業許可を取得するには、何の資格が必要なのかを確認して頂く必要があります。

経験年数が3~5年になる「特殊な学科」とは何ですか?


(2)の特殊な学科を卒業している場合、大学卒業であれば実務経験の期間は3年、高校や専門学校卒業であれば実務経験の期間は5年で足ります。土木科・電気科・建築科・機械科・環境科・電子科など、さまざまな学科が指定されています。専任技術者は役員である必要はないので、自分の会社の社員の中に、上記のような特殊な学科を卒業している人がいないかを探してみるとよいでしょう(指定学科の卒業経歴の成功事例はこちらをクリック)。

何とかして実務経験期間を短縮させたいのですが…


東京都が公表している手引きには、さまざまな学科が指定学科として掲載されています。ただし、全てが掲載されているわけではありません。仮に、手引きに掲載されていない学科の卒業であったとしても、実務経験の期間が3年もしくは5年で足りる場合があります。「10年の実務経験期間が必要であると考えていたが、実は、5年で足りた」というケースはとても多くあります。自分の卒業経歴が指定学科に該当するかわからないときは、許可行政庁に照会をしてみてください(実務経験期間短縮の成功事例はこちらをクリック)。

他社での工事経験も、経験年数にカウントされるのですか?


実務経験期間は、他社での実務経験もカウントされます。例えば、「前社(A社)で8年間、とび工事に従事していました。今の会社(B社)に転職して、3年経ちます」というXさんがいたとします。このXさんは、A社(8年)+B社(3年)の合計11年、とび工事に従事していることになります。よって、10年の実務経験を満たし、専任技術者になることができます。B社で建設業許可を取得したいからといって、B社での10年の勤務年数が必要なわけではありません許可取得の成功事例はこちらをクリック)。

上記のように専任技術者の実務経験期間が10年から短縮されるケースは、多くあります。「当初は10年必要と考えていた会社が、実は、5年で足りた」ということも少なくありません。社員に指定学科卒業者がいないか?他社での実務経験を証明できる人がいないか?などを細かく精査していくとよいでしょう。

何年も待てない!今すぐ許可を取得したいという人は…

建設業許可を取得するにあたって「年数」はとても重要です。このページを読むことによって、「あと何年が必要か?」という「年数」だけでなく、

  • 経営業務管理責任者になるための「経営経験の年数」
  • 専任技術者になるための「実務経験の年数」

というように、必要な「年数」の種類が違うこともお分かりいただけたかと思います。さらに、難しいのは、経験年数を証明するための資料です。工事請負契約書や注文書や請求書(入金通帳)などの資料を準備して、実際に経験年数を満たしていることを証明していかなければならないのです。

「今すぐにでも建設業許可を取りたい」と思っていたものの、「何年も待つ必要がある」ということは、ざらにあります。一方で、「あと何年も待たなければ建設業許可を取得できない」と思っていたものの、実は「今すぐ、申請できる」ということがあるのも事実です。このページで紹介したように、「経験のある人を採用する」「社員の卒業経歴を確認する」「他社での実績を利用する」という方法によって、今すぐにでも建設業許可を取得できる可能性があるのです。

みなさんの中に、

今すぐ、建設業許可を取るのは難しい

経験期間を満たすまで待つ必要がある

この資料だけでは経験を証明することができない

というようなことを言われて、建設業許可の取得をあきらめてしまっている人はいませんか?

たしかに、実務経験の年数が全く足りていない場合や建設業の経営経験がゼロの場合は、建設業許可の取得をあきらめるしかないこともあります。しかし、何年も待たずに建設業許可を取得することができる可能性もあります。

行政書士法人スマートサイドは、東京都の建設業許可の取得手続きを専門に行う事務所です。東京都は、他県と異なり、経験の年数や経験の証明方法について、とても厳格な運用をしています。「他県では建設業許可を取得できるようなケースでも、東京都では取得できないという現実」があります。東京都の建設業許可取得は、それだけ難しいのです。

そのような中、弊所では、多くの建設会社を許可取得に導いてきた実績があります。中には、ほぼ、建設業許可の取得をあきらめていた会社が、最後の望みとしてスマートサイドに相談した結果、無事、東京都の建設業許可を取得するに至ったこともあります。

行政書士法人スマートサイドでは、これまでの豊富な経験と専門的な知識を活かし、東京都の建設業許可の取得に関する具体的な課題を解決へと導いています。経験年数、許可要件、準備すべき書類のご案内はもちろんのこと、書類作成、提出まで、一つひとつのステップを丁寧にサポートし、多くの企業の許可取得を成功させてきました。

もし、御社が建設業許可の取得に不安を感じている、あるいは他の専門家に相談しても解決策が見つからなかったという状況であれば、ぜひ一度、スマートサイドの有料相談をご利用ください。御社の現状を詳しく伺い、許可取得の可能性や最適な進め方について具体的にご提案させて頂きます。

確実に許可を取得するための第一歩として、専門家の視点から最適なアドバイスを受けてみませんか?東京都の建設業許可の取得、経験年数の不足でお困りの人はぜひ、事前予約制の有料相談をお申込みください。

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