✅ 経営経験・実務経験の証明の仕方がわからない
✅ 建設業許可取得に必要な経験を満たしているのか?不安
✅ 10年の実務経験を証明するための必要書類がわからない
という人に、お勧めのページです。東京都の建設業許可を取得する際に、「経営経験」や「実務経験」の証明が必要な人に向けて、わかりやすい解説を心がけています。ぜひ、東京都の建設業許可を取得する際の参考にしていただければと思います。
建設業許可取得に必要な「経営経験」「実務経験」とは
建設業許可を取得する際に、とても重要な事項として「経営経験」もしくは「実務経験」の証明があります。建設業許可は、「取得したいから」という理由で、簡単に取れるものではありません。資格や経験がないと、「取りたくても取れない」のが建設業許可です。多くの建設会社が
- 「経営経験」「実務経験」の期間(年数)が足りない
- 「経営経験」「実務経験」を証明することができない
- 「経営経験」「実務経験」の証明に必要な書類がわからない
ということで、建設業許可取得に苦労しているのが、現状です。それでは「経営経験」や「実務経験」が必要なのはなぜでしょうか?
経営業務管理責任者に必要な「経営経験」
まず、建設業許可を取得する際の、最も重要な要件として、「経営業務管理責任者」という要件があります。「経営業務管理責任者」とは、建設業許可業者における建設業部門の最高責任者を言います。ご存知の方も多いと思いますが「経営業務管理責任者」がいなければ、建設業許可を取得することができません。この「経営業務管理責任者」の要件を満たすには
- (ア)申請会社の常勤の取締役
- (イ)取締役(もしくは個人事業主)としての経験が5年間
- (ウ)その5年間、建設業をおこなっていたこと
専任技術者に必要な「実務経験」
続いて、建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者の他に、「専任技術者」という要件も満たす必要があります。「専任技術者」とは建設業許可業者に常勤する工事請負契約の適正な締結およびその履行に責任を負う技術者のことを言います。この「専任技術者」の要件を満たすには
- (1)施工管理技士などの資格者
- (2)指定学科の卒業経歴+3~5年の実務経験
- (3)10年の実務経験
のいずれかが必要です。例えば、1級建築士や1級施工管理技士などの国家資格を保有している人の場合、(1)に該当するため、建設業許可を取得するにあたっては、「実務経験」は必要ありません。一方で、国家資格を持っていなくても((1)に該当しなくても)専任技術者になることができますが、その場合は、指定学科(土木科や建築科などの特殊な学科)の卒業経歴の有無に応じて、3~5年もしくは10年の実務経験が必要になります。
(2)と(3)で専任技術者になり建設業許可を取得しようとする場合に必要になるのが「実務経験」です。
「経営経験」「実務経験」を証明して建設業許可を取るには?
建設業許可を取得する際には、許可要件である(ウ)(2)(3)を充足させるために、「経営経験」「実務経験」が必要になるわけですが、「経営経験」「実務経験」を証明して建設業許可を取得するには、どうすればよいのでしょうか?この「経験の証明」がとても難しく、建設業許可の取得を断念する人のほとんどが、「経験の証明」がうまく行かずに、困ってしまっています。
なお、「経験の証明」の仕方、「経験の証明」に必要な書類は、都道府県(許可行政庁)によって異なります。例えば、「東京都知事許可を取得する際に必要な書類」と「神奈川県知事許可を取得する際に必要な書類」は異なります。そのため、自分の会社が「どこの許可」を取るかによって、建設業許可取得の難易度が変わってくるのです。
わたしの経験上、東京都は細かなルールを定めて書類を求めてくるので、東京都における「経験の証明」は、とても難しい部類の申請に該当します。そのため、東京都知事許可を取得する建設会社は、他県の許可を取得する会社よりも、より慎重に書類の準備を進めなければなりません。
経験を証明するために必要な書類
「経営経験」「実務経験」を証明するために必要な書類は、以下の3点です。
- 工事請負契約書
- 注文書
- 請求書+入金記録
ただし、上記の3点すべてが必要というわけではありません。「工事請負契約書があれば、工事請負契約書」「工事請負契約書がなければ、注文書」「注文書がなければ請求書と入金記録のセット」というように覚えておいてください。
書類準備の注意点
(注意点その1)期間通年分の書類が必要
経営業務管理責任者の要件を証明するための「経営経験」の場合は、5年分の書類が必要です。専任技術者の要件を証明するための「実務経験」の場合、指定学科の卒業経歴があれば3~5年分の書類が必要です。指定学科の卒業経歴がなければ10年分の書類が必要です。これは、「期間通年分」といわれ、証明する期間の最初から最後まで、「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金記録」を準備しなければなりません。
(注意点その2)保守・点検・メンテナンス
電気工事、電気通信工事、管工事、機械器具設置工事を行う会社の中には、「保守・点検・メンテナンス」をメイン業務としているところもあるかと思います。建設業許可を取得する際に必要な「経験」は、あくまでも工事に関する経験です。そのため、「保守・点検・メンテナンス」をどんなに行っていたとしても建設業許可を取得する際に必要な「経営経験」「実務経験」には該当しません。準備しなければならないのは「保守・点検・メンテナンス」に関する契約書などの書類ではなく、工事に関する書類になります。
(注意点その3)業種について
経営業務管理責任者の要件に必要な「経営経験」を証明する際には「建設工事の請負」であることがわかれば足ります。業種は問いません。しかし、一方で、専任技術者の要件に必要な「実務経験」を証明する際には「建設工事の請負」であることはもちろんのこと、許可を取得しようとする業種の建設工事であることが必要です。例えば、内装工事の建設業許可を取得したいのであれば「内装工事」に関する書類であること、とび工事の建設業許可を取得したいのであれば「とび工事」に関する書類であることが必要です。
(注意点その4)注文書の場合
「経営経験」「実務経験」を注文書で証明しようとする場合、発注者の押印のある注文書(発注者が法人の場合は、代表者印もしくは会社印に限る)があれば入金確認資料の提示は必要ありません。一方で、注文書に発注会社の代表者印や会社印の押印がない場合・担当者個人印の押印しかない場合、入金確認資料の提示が必要になります。注文書の場合は、押印の種類や有無で、提示する書類に違いがあります。
(注意点その5)複数件がまとめて入金されている場合
押印のない注文書や請求書で「経験」を証明しようとする場合、通帳または金融機関発行の明細書が必要になります。通帳や金融機関発行の明細書で、1回の振込について複数件がまとめて(合算されて)入金されているような場合には、合算した請求書の写しをすべて提示するか、もしくは、入金の内訳表を作成して合算分のすべての金額を明らかにしなければなりません。
(注意点その6)1つの工事つき500万円以上の実績がある場合
「経営経験」「実務経験」を証明する際に、500万円以上の工事請負契約書や500万円以上の工事の注文書を提示するのは、いかがなものでしょうか?これから建設業許可を取得するために過去の経験を証明する必要があるわけですが、その過去の経験は、未許可(建設業許可を持っていない)期間のはずです。であるにも関わらず、500万円以上の工事の実績があるというのは、自ら、建設業法に違反していましたと言っているのに等しいです。500万円以上の工事の実績があったからと言って、許可を取得できないというケースは今までありませんが、都庁に提出する際には、金額をよく確認したうえで、書類を精査する必要があるでしょう。
経験を証明するために必要な件数
上記の「(注意点その1)期間通年分の書類が必要」の中で、
- 経営業務管理責任者の要件を証明するための「経営経験」の場合は、5年分の書類が必要
- 専任技術者の要件を証明するための「実務経験」の場合、指定学科の卒業経歴があれば3~5年分の書類が必要。指定学科の卒業経歴がなければ10年分の書類が必要。
と書きました。3年間、5年間、10年間と、長期間にわたって工事の実績・経験を証明する必要があります。それでは、3~10年もの長い期間の経験を証明するには、どのくらいの件数(枚数)の書類の準備が必要になるのでしょうか?1か月に1件の割合でしょうか?それとも年に1件の割合でたりるのでしょうか?
この点、東京都の手引きには以下のような記載がありますので、引用します。
「経営経験・実務経験期間確認表」を提出した場合には、請求書等の間隔が四半期(3か月未満)であれば、その間の請求書等の写しの提出を省略できます。
すこし、引用が長くなりましたが、東京都の手引きの記載をまとめると
- 原則1か月につき1件の割合で、書類を提出する必要がある
- 「経営経験・実務経験期間確認表」を提出した場合には、3か月に1件の割合でよい
ということになります。わかりやすく表にすると以下のようになります。
原則 | 経営経験・実務経験期間確認表を提出 | |
---|---|---|
割合 | 1か月につき1件 | 3か月につき1件 |
3年 | 36件 | 12件 |
5年 | 60件 | 20件 |
10年 | 120件 | 40件 |
「経営経験・実務経験期間確認表」を提出することによって、「工事請負契約書」「注文書」「請求書+入金記録」による経験の証明件数が格段に減ることがお分かりいただけると思います。これだけ件数が減るわけですから、なんとか「経営経験・実務経験期間確認表」をマスターして、申請に臨みたいところです。そこで、以下では「経営経験・実務経験期間確認表」について、解説していきたいと思います。
「経営経験・実務経験期間確認表」の書き方・注意点
原則として、1か月に1件の割合で必要な工事請負契約書などの書類が、3か月1件の割合でよくなるわけですから、「経営経験・実務経験期間確認表」を使って、申請した方が、建設業許可が取得しやすくなるのは、言うまでもありません。なお、「経営経験・実務経験期間確認表」は、都庁のホームページからダウンロードすることができます。
下記の画像は、実際に弊所が5年の経営経験を証明して管工事の建設業許可を取得した際に使用した「経営経験・実務経験期間確認表」に一部、アレンジを加えたものです。
令和〇年1月~令和□年12月までの5年間の配管空調工事(管工事)の経験を請求書と通帳によって、証明しています。東京都の手引きに明記されているように「請求書等は、原則、証明に必要な月数分(原則1月1件)必要ですが、経営経験・実務経験期間表を提出した場合には、請求書等の間隔が四半期(3か月)未満であれば、その間の請求書などの写しの提出を省略」することができます。
例えば、下記のように令和×年分の配管空調工事の請求書と入金記録が「1月分」「4月分」「8月分」「11月分」「12月分」しかなかった場合を想定してみます。
令和×年分 | 工事件名 | 請求書等 | 通算カウント |
---|---|---|---|
1月 | 配管空調工事 | 請求書+入金記録 | 1 |
2月 | 2 | ||
3月 | 3 | ||
4月 | 配管空調工事 | 請求書+入金記録 | 4 |
5月 | |||
6月 | |||
7月 | |||
8月 | 配管空調工事 | 請求書+入金記録 | 5 |
9月 | 6 | ||
10月 | 7 | ||
11月 | 配管空調工事 | 請求書売+入金記録 | 8 |
12月 | 配管空調工事 | 請求書売+入金記録 | 9 |
「1月」と「4月」の間は、2か月しか間隔があいていないので、「1月」~「4月」までの4か月間を「経験」としてカウントしてもらうことができます。しかし、「4月」の次は「8月」まで間が空いてしまいます。この場合、3か月以上期間が空いてしまっているため、「5月」「6月」「7月」は「経験」としてカウントしてもらうことができません。
そのため、この会社は、令和×年の1年間で9か月分の「経験」を証明することができるにとどまります。もし、令和×年の1年間で12か月分の「経験」を証明してもらいたいのであれば、「5月」「6月」「7月」のいずれかの月で、請求書+入金通帳を提示する必要があるのです。そうすれば、令和×年の1年間で12か月の「経験」をカウントしてもらうことができるようになります。
どうしても、令和×年の「5月」「6月」「7月」の請求書などがないという場合には、令和×年1月より前の(古い)経験を証明するか?令和×年12月より新しい(最近の)経験を証明するか?して、経験年数の埋め合わせをすることが必要になります。
経営経験・実務経験の証明でお困りの人へ
請求書や通帳で「経営経験」「実務経験」を証明して建設業許可を取得するには、この他にも
- 入金箇所に線を引くなど、該当箇所が分かるようにする必要がある
- 請求書の写しと入金確認資料を1か月ずつ1セットにし、上から古い年月順になるように並べる必要がある
- 件名や内訳書等から工事内容が明確に読み取れない場合は、追加の資料の提示を求める場合がある
など、さまざまなルールがあります。
もし、みなさんが、誰の力も借りず、自分自身の手で、建設業許可を取得しようとする場合、このページに記載したルールをよく理解したうえで、手引きに忠実に申請書類を準備する必要があります。気が遠くなるような作業だとは思いませんか?
行政書士法人スマートサイドは、東京都の建設業許可取得の専門家として、「経営経験」「実務経験」の請求書や入金記録による証明を大変得意としている事務所です。ホームページに掲載しているだけでも、以下のような「経験の証明」による東京都の建設業許可の取得の実績があります(クリックするとページが移動します)。
✅ 10年の内装工事の経験の証明に成功し、内装工事の許可取得
なかには、<前任の行政書士の先生にお願いしたところ、3か月以上も待たされた挙句、許可が取れなかったケース>や、<税理士の先生に相談したら、許可取得をあきらめるように言われたケース>や、<社内担当者が都庁に申請に行ったものの、受け付けてもらえなかったケース>など、難易度が高く難しい案件で、無事、東京都の建設業許可を取得できたケースもあります。
行政書士法人スマートサイドでは、「1人1人への適切な対応」および「質の高い打ち合わせ時間の確保」という見地から、初回相談に限って、事前予約制の有料相談(1時間11,000円)を実施しています。
- 請求書や入金記録
- 入金通帳がなければ金融機関発行の取引明細
- 健康保険証のコピー
- 直近の確定した決算書
などをご持参いただければ、より深く建設業許可取得への道筋をご案内させて頂くことが可能です。「経営経験」「実務経験」の証明は、だれにでもできる簡単な作業ではありません。お困りの際は、ぜひ、行政書士法人スマートサイドの事前予約制の有料相談をお申込みください。