建設業許可の29業種のうち、「ガラス工事業」の許可を取得したいという方もいらっしゃると思います。国土交通省の平成29年3月の調査によると、全建設業許可業者のうち、ガラス工事の許可を持っている事業者は、なんと、全体の3.8%しかありません。
実際に、弊所に相談に来る事業者さまも、建築一式やとび・土工は多いものの、「ガラス工事の許可」となると少ないです。しかし、500万円以上のガラス工事を施工するのであれば当然、ガラス工事の建設業許可が必要になります。また、仮に500万円以上の工事を施工することがなくても、元請や取引先から「ガラス工事の許可を取ってください」と言われてることもあるかと思います。
そこでこのページでは、「ガラス加工取付け工事」や「ガラスフィルム工事」に代表されるような「ガラス工事」の建設業許可について、ガラス工事の特殊性に焦点を当てつつ、解説していきたいと思います。
ガラスフィルム工事は内装工事?
ガラスフィルム工事は「内装工事」か?「ガラス工事」か?
ガラス工事の建設業許可を取得する前に、1つ疑問があります。それは、ガラスフィルム工事は「ガラス工事」に該当するのか?それとも「内装工事」に該当するのか?という問題です。
皆さんはどのように考えますか?
ガラス工事と聞くと、ガラス本体の切り貼りや加工をイメージします。ガラスそのものを加工して窓枠にはめ込んだりする工事です。一方で、ガラスフィルム工事は、すでにあるガラスにガラスフィルムを貼付する作業をイメージします。ガラス工事とガラスフィルム工事では、その内容に大きな違いがあるといえます。
また、2014年頃までは、手引きに「ガラスフィルム工事」といった記載はなく、ガラスフィルム工事の実績で、内装工事の許可を取得していた例もあるようです。
そのため、飛散防止フィルムや断熱フィルムを扱っている事業者さまの中には、内装工事で許可を取ればよいのか?ガラス工事で許可を取ればよいのか?迷われる方もいるようです。
装飾フィルムは「内装」。機能性向上フィルムは「ガラス」。
結論から言うと、ガラスフィルム工事にも2種類あって、ガラスの装飾をする場合のフィルムは内装工事に該当し、断熱や飛散防止といったガラスの機能を向上するために行う工事は、ガラス工事に該当するということです。
実は、この点については、弊所でもかなり入念に調べました。その際に、「ガラスフィルムの貼付は、限りなく内装工事に近い」とか、「ガラスフィルムの貼付は、工事に該当しないから、建設業許可は取れない」とか「ガラスフィルム工事の実績で、ガラス工事の許可を取得することはできない」など、様々な回答がありました。
しかし、実際に、都庁の審査担当者に相談に行ったところ、上記のように「ガラスの装飾をする場合のフィルムは内装工事に該当し、断熱や飛散防止といったガラスの機能を向上するために行う工事は、ガラス工事に該当する」という扱いになっているそうです。
弊所でもガラスフィルムの工事経歴10年を使用して、ガラス工事の許可を取得することができたので、間違いないと思います。
ガラス用フィルム施工技能士の資格はダメ?!
皆さんすでにご存じのように、建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者のほか「専任の技術者」が必要です。では、ガラス工事を取得するための「専任技術者」になるにはどういった資格が必要なのでしょうか?
まず、1級建築施工管理技士および2級建築施工管理技士(仕上げ)であれば、問題ありません。
技能検定の「ガラス施工」は?
では、職業能力開発促進法の「技能検定」でいうところの、「ガラス施工」の資格はどうでしょうか?この場合、等級区分が1級の方は、実務経験を証明することなく、専任技術者になることが可能です。
他方、等級区分が2級の方は、合格後1年以上(平成16年4月1日以降の合格者は3年以上)の実務経験の証明が必要になります。
同じ技能検定の資格でも、1級合格か2級合格かによって、実務経験の証明の有無に違いがあります。
技能検定の「ガラス用フィルム施工技能士」の資格は?
では、さらに、「ガラス用フィルム施工技能士」の資格を持っていると、実務経験の証明なしでガラス工事の専任技術者になることができるのでしょうか?この点についても、弊所で調査したところ、「ガラス用フィルム施工技能士」を持っていたとしても、「10年の実務経験の証明がなければ、ガラス工事の専任技術者になることはできない」とのことでした。
なぜ、同じガラス工事の許可を取得するのに「ガラス施工」は良くて「ガラス用フィルム施工」はダメなのか?なんとも腑に落ちないところです。すくなくとも現時点では、ガラス用フィルム施工技能士の資格しかもっていない方が、ガラス工事業の許可を取ろうとする場合には、10年の実務経験の証明が必要になります。
10年の実務経験を証明するには?
10年の実務経験を証明するには、月1件ペースで「ガラス加工取り付け工事」もしくは「ガラスフィルム工事」を施工していたことがわかる請求書と入金通帳を用意しなければなりません。
この場合、請求書の内容から、「ガラス工事」であることが明確である必要があります。例えば、「ガラス窓枠の販売」や「ガラス本体の販売」など物販の請求書だと、工事の経歴であると認められない可能性があります。
行政書士法人スマートサイドにご連絡いただく際には…
行政書士法人スマートサイドにご連絡いただく際には、専任技術者になられる方が、どの資格を持っているのか?
一級建築施工管理技士なのか、二級施工管理技士(仕上げ)なのか、または職業能力開発促進法の「技能検定」でいうところの、「ガラス施工」の資格をお持ちなのか、もしくは、10年の実務経験があるのか?などを、確認の上、ご連絡ください。
また、経営業務管理責任者の要件として、5年以上のガラス工事業の経営経験(取締役の経験)が必要になりますので、こちらについても間違いのないように確認をしてください。
ガラス工事の許可取得にかかる費用
都に支払う費用 |
行政書士報酬 |
お支払い額合計 |
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標準的なケース |
90,000円 |
300,000円 | 390,000円 |
ご不明な点がございましたらお気軽にお問合せください。
ガラス工事の申請までにかかる期間
スケジュール |
日数 |
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問合せ~面談 | 0日~3日 |
面談~書類収集・書類作成 | 7日程度 |
必要書類の押印~申請 | 4日程度 |
合計 | お問合せ~許可申請まで2週間程度 |
※急ぎの場合には別途対応いたします。
ガラス工事業の許可取得でお困りの方へ
冒頭にも記載しましたが、「どうしてもガラス工事業の許可を取らなければなならない」という事業者さまは、少ないかもしれません。ガラス工事自体、それほど、頻繁に行われるものではないですし、建築一式や内装と比べると1件当たりの単価が低いせいもあって、建設業許可取得まで至らないという事情もあるかと思います。
ガラス工事の許可が少ない分、ガラス工事の許可の取り方について、きちんと理解している行政書士も、また少ないように思います。本文にも記載しましたが、「ガラスフィルム工事の経験では、ガラス工事の建設業許可が取れない」とか「ガラスフィルムは内装工事である」といった誤った情報も散見されます。また、残念なことにガラス用フィルム施工技能士の資格では、専任技術者になることができません。
しかし、10年の実務経験を根気よく証明することによって、ガラス工事の建設業許可を取得することは可能です。ガラス工事の建設業許可を取得したいとお考えのかたは、ぜひ行政書士法人スマートサイドにご連絡をください。皆様からのお問い合わせをこころよりお待ちしております。