建退協への加入「有り」と「無し」。
総合評定値(P点)を比較してみました!
せっかく、経営事項審査を受けるのだから、総合評定値(P点)の点数は、高いほうが良いですよね。できれば、1点でも高いP点を取得したいのではないでしょうか?
このページでは、建設業退職金共済制度(以下「建退協」)への加入がP点にどのように影響するか?建退協への加入「有り」と「無し」の場合とでシミュレーションを行い、比較してみました。
建退協への加入「無し」の場合
建退協への加入「無し」の場合、総合評定値(P点)は、723点です。
建退協への加入「有り」の場合
建退協への加入「有り」の場合、総合評定値(P点)は、744点です。
シミュレーションの結果の解説
723点が、744点に!
労働福祉の状況
15点が30点にUP
まず、建設業退職金共済制度(以下「建退協」)への加入が「有り」となったことで、「労働福祉の状況」の点数が15点から30点にアップしています。これは、評点(W)を計算する際の前提となる「労働福祉の状況」の点数を算出する際の計算式が、下記のようになっていることが理由です。
- 労働福祉の状況=
Y1×15-Y2×40
Y1=
- 建退協への加入
- 退職一時金制度又は企業年金制度の導入
- 法定外労働災害補償制度への加入
Y2=
- 雇用保険の未加入
- 健康保険への未加入
- 厚生年金保険の未加入
評点(W)
931点が1073点にUP
上記のように「評点(W)」を算出する際の前提となる「労働福祉の状況」が15点アップしたのであれば、評点(W)も単純に15点アップ(931点から946点)すると思うかもしれません。
しかし、実際には、評点(W)は、15点アップどころか142点もアップしてます。建退協への加入「有り」にして、「労働福祉の状況」が15点アップしただけなのに、なぜ、評点(W)が一気に142点もアップしたのでしょうか?
これは、経営事項審査の際に用いられる独特の計算式によるものです。
- 評点(W)=
(「労働福祉の状況」+「建設業の営業継続の状況」+「防災活動への貢献の状況」+「法令遵守の状況」+「建設業の経理の状況」+「研究開発の状況」+「建設機械の保有状況」+「国際標準化機構が定めた規格による登録の状況」+「若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況」)×10×190÷200
上記の計算式は、少しわかりにくいかもしれませんが、要は、評点(W)は、単純に、「その他の審査項目(社会性等)」を足し算して算出されるわけではなく、「その他の審査項目(社会性等)」の合計に10を掛け、190を掛け、200で割るといった方法で算出されているのです。
そのため、「労働福祉の状況」が15点アップしただけで、「評点(W)」が142点アップしたことになるのです。
総合評定値(P)
723点が744点にUP
評点Wが142点アップしたのだから、総合評定値(P)も142点アップし、723点から865点になっているかというと、そうでもありません。ここでもやはり、経営事項審査に特有の計算式が用いられます。
- 総合評定値(P)=
0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)
- X1=工事種類別年間平均完成工事高
- X2=自己資本額及び平均利益額に係る評点
- Y=経営状況分析
- Z=技術職員数及び元請完成工事高
- W=その他社会性等
上記の計算式からわかるように、総合評定値(P)における「評点W(その他社会性等)」の割合は15%です。
そのため、評点(W)が142点アップしても、総合評定値(P)は、
- 142×0.15=21.3(小数点以下、切り捨て)
となり、総合評定値(P)は、723点から21点アップの743点になるわけです。