皆さんは、建設業許可を取得する際の許可要件について、熟知していらっしゃいますか?「経営業務管理責任者」「専任技術者」については、とても大事な要件なので、皆さんよく勉強していると思います。「財産的要件」や「欠格要件」については、この2つが問題になる方は、比較的少数派であるように思います。
では、最後の要件である「営業所の要件」については、どうでしょうか?このページでは、東京都の建設業許可を取得する際に知っておきたい営業所の要件について、簡単にまとめてみましたので、ぜひご覧ください。
そもそも「営業所」とは…
そもそも、営業所とは、「本店・支店・又は常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、以下の要件を備えているもの」を言います。
- 外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結などの実体的な業務を行っていること
- 電話、机、各種事務台帳等を備えていること
- 契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、住居部分、他法人又は他の個人事業主とは間仕切りなどで明確に区分されているなど独立性が保たれていること
- 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約を結んでいること)(住居専用契約は、原則として不可)
- 看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かるように表示してあること
- 経営業務の管理責任者又は建設業法施行令第3条に規定する使用人が常勤していること
- 専任技術者が常勤していること
「営業所」に該当する場合、しない場合
JKK・UR・都営住宅
建設業許可を取得する際の営業所としては認められていません。その理由は、JKKやURや都営住宅は、そもそも、住居の用に供するために建物や部屋を供給していますね。そこが大前提です。ですので、住居の用途以外の事務所や営業所として使用することはその前提に反します。
作業小屋・連絡所・物置
これらも、建設業の許可を取得する際の営業所としては、認められていません。一次的な事務作業の場所とは言えるかもしれませんが、一般常識的に「契約などのために来客を招き入れて」建設業の業務を行う場所とは言いづらいですね。
自宅兼事務所
自宅兼事務所でも、営業所として認められる場合があります。例えば、ワンルームマンションなどは、個人の自宅部分と会社としての営業所部分が分離独立して機能しているとは言えないので、営業所にはあたりません。同じように、一戸建て住宅の3階部分などは、2階の住居スペース(居間など)を通らないと3階に行けないような場合は、営業所としては認められないと思います。
一方で、一戸建てやマンションでも、玄関を開けてすぐの部屋や、住居部分と完全に遮断、確立された部屋は、営業所として認められる場合があります。
登記上の所在地と実際の所在地が異なる場合
そもそも登記簿上の本店所在地と実際の営業所所在地って異なっても良いの?
「登記上の所在地と実際の営業所所在地が異なる」ことに違和感を感じる方もいるかもしれませんが、実際にはよくあることです。たとえば、登記簿上の本店所在地が埼玉県に、実際の営業所が東京都内にある場合、建設業の許可は、東京都知事許可を取得することになります。
登記上の所在地と実際の営業所所在地が異なる場合の注意点
登記上の所在地と実際の営業所の所在地が異なる場合、登記簿謄本を提示しても、実際の営業所の所在地がどこにあるか分かりませんね。そこで、この場合には、
- 当該建物が自己所有の場合には、「建物の登記簿謄本」
- 当該建物を賃借している場合には、「賃貸借契約書の写し」(使用目的が事務所用または店舗用であることが必要)
が必要になります。
また、当該建物を賃借している場合には、本当に賃借していることを証明するために直近3か月分の賃借料の領収書の提示を求められることがあります。
「営業所」に関するその他の注意点
同一フロアに別法人がいる場合
同一フロアに別法人が入居している場合にも注意が必要です。フロア図等を用いて、営業所が他法人とは「別個独立」に存在していることを示さなければなりません。
写真の撮り方
上記のように見てきた営業所の要件については、写真に映して申請書と一緒に提出する必要があります。
例えば
- カーテンやブラインドは開けた状態で撮影しなければなりません。
- 固定電話やパソコンといった機器・デスク・接客スペースがきちんと映っていなければなりません。
- ポストや表札も、そこが建設会社の「営業所」であることが分かるように記載する必要があります。
といったルールがあります。
またこれは、個人的な感想ですが、「自宅兼事務所」の場合には、あまり生活感を出さない方が良いかもしれません。
建設業許可を取得する際に必要な「営業所」のまとめ
以上、東京都建設業許可を取得する際の「営業所の要件」について見てきましたが如何でしたか?営業所要件については、あまり意識されない方が多いと思いますが、「貸主さんから事務所としての使用許可が下りなかったために営業所追加ができなかった」という経験もあります。
このようなことがないように許可を取得する際には、一度改めて確認してみる方がよいかもしれませんね。何かわからないことがあれば、遠慮なくご連絡ください。