ガラスフィルム工事の取り扱いについて
手引きの改訂があり、「ガラスフィルム工事」が「ガラス工事」の分類に例示されるに至りました。「ガラスフィルム工事」いわゆる断熱フィルム・飛散防止フィルムの貼付工事が、ガラス工事業に分類されるわけです。ガラスフィルムを貼る工事は、内装工事のようにも思えますが、ガラス工事として扱われるようになったのです。
従来、ガラスフィルム工事は手引きに記載がなく、運用上、ガラスフィルム工事の経歴で内装仕上工事の許可を取得できていました。
では、ガラスフィルム工事を行っている事業者さまが、内装仕上工事の許可のほか、ガラス工事の業種追加をしたいと考えた場合、ガラス工事の許可を追加で取得(業種追加)できるのでしょうか?
すでにガラスフィルム工事での10年の経歴を内装仕上工事の許可の際に使ってしまっていた場合、「実務経験で2業種以上申請する場合は、1業種ごとに10年以上の経験が必要です。期間を重複することはできません(2業種を申請する場合は20年以上必要です)。」(手引きP11(注))という実務経験の期間算定の大前提を満たさない結果となってしまいます。よって、ガラス工事での業種追加はできませんでした。
もっとも、ガラス工事の許可を取得することにこだわる必要はあるのでしょうか?
東京都の入札でも共同運営の入札でも「内装仕上工事」で経営事項審査を受けていれば断熱フィルム・飛散防止フィルムの工事について入札ができます。逆にガラス工事で経営事項審査を受けていても、内装仕上工事での入札はできません。であるならば、わざわざ内装仕上工事に、ガラス工事の許可を追加するメリットはないと言わざるを得ません。
もちろん、「ガラス工事の許可が欲しい」とか、「元請からガラス工事の許可を取得するように催促されている」とか、「これからはガラス工事の許可でやっていきたい」とかいった特別な事情があれば、話は別ですが。
ガラスフィルム工事(飛散防止フィルム・断熱フィルム)の取り扱いについては、手引きの記載に振り回されないように注意深く見守っていく必要があります。何か疑問点が生じた際には、事業者様の不利益にならないように都と綿密に意思疎通を図りながら対処していく必要があるように思われます。
例えば、今までは、内装工事の売上高に計上していた「ガラスフィルム工事」をこれからはガラス工事の売上高に計上しなければならないのか?といった疑問点などが浮かんできますね。
以上のように、建設業支援業務という行政書士の仕事は、「手引きを読めば誰にでもできる」といった簡単なものではありません。かなり細かいところまで立ち入って、都と対等に協議できる知識や経験が必要です。私もさらなる研鑽を積みお客様に最高のサービスを提供できるようにしたいと改めて思った事案でした。